こころの不調には、うつ病や不安障害など、医療による治療や支援が必要となる状態があります。「本人の気持ちが弱い」「性格の問題」と決めつけられるものではありません。
一方、ご本人は不調に気づきにくかったり、周囲に心配をかけたくない思いから一人で抱え込んだりすることがあります。
毎日の様子を身近で見ているご家族だからこそ、「以前と少し違う」という変化に気づけることがあります。どう声をかければよいか迷ったときも、ご家族だけで抱え込まず、医療機関へご相談ください。
症状の一般的な特徴
生活リズムにあらわれる変化
こころの調子を崩すと、まず睡眠や食事など日常生活に変化が現れることがあります。なかなか寝つけない、夜中に何度も目が覚める、朝になっても起き上がれない、反対に眠る時間が極端に長くなるといった変化です。
食欲がなくなる、食べる量が増える、短期間で体重が変化することもあります。また、朝の支度が進まない、遅刻や欠勤が増える、仕事や学校へ行けない日が続くなど、これまでできていた生活に影響が出ている場合も、不調のサインの一つとして考えます。
気分や言動にあらわれる変化
以前より口数が減った、家族との会話を避けるようになった、好きだった趣味や外出に興味を示さなくなったといった変化がみられることがあります。一方で、些細なことに強くイライラしたり、落ち着きがなくなったりする場合もあります。
「自分はだめだ」「迷惑ばかりかけている」「何をしてもうまくいかない」など、自分を責める発言が増えることもあります。一つの変化だけで病気と判断するものではありませんが、「いつもの本人と違う」状態が続いている場合は、心身が疲れている可能性があります。
身体の不調としてあらわれることもあります
こころの不調は、頭痛、胃の不快感、吐き気、動悸、めまい、強い倦怠感など、身体症状として現れることもあります。内科などで検査を受けても大きな異常が見つからず、不調が続く場合には、ストレスや不安、気分の落ち込みなどが関係している可能性もあります。
ただし、身体疾患を除外することも大切ですので、症状に応じて適切な診療科での確認が必要です。
家庭でできるサポートについて
していただきたいこと
こころの不調がある時期は、普段ならできることにも大きなエネルギーが必要になります。できる範囲で睡眠や食事など生活リズムを整えるお手伝いをしながら、ご本人の回復のペースを尊重してください。
退職や転居など大きな決断については、症状が強い時期に急いで結論を出さず、体調が落ち着いてから考えることも大切です。
受診に不安がある場合は、「一緒に行こうか」と付き添いを申し出ることも助けになります。お薬についても無理に管理するのではなく、服用を続けられているかを静かに見守り、困っている様子があれば主治医へ相談するよう促してみてください。
お控えいただきたいこと
「頑張って」「気の持ちようだよ」「みんなつらいよ」といった言葉は、励ますつもりでも、すでに精いっぱい頑張っているご本人にとって負担になることがあります。また、不調が強い時期に退職、離婚、転居など人生に関わる大きな決断を急がせることも避けた方がよい場合があります。
気分転換を目的に無理に外出へ誘ったり、「こうすれば治る」とご本人より先に結論を決めたりする必要もありません。
何かを解決しようと急ぐよりも、「今は休んで大丈夫」「困っていることがあれば一緒に考えるよ」と、ご本人のペースを尊重する関わり方が大切です。
パートナーの不安が強いとき
強い不安を抱えている方に対して、「そんな心配はあり得ない」「考えすぎ」と不安の内容そのものを論破しようとしても、安心につながらないことがあります。まずは「それくらい不安に感じているんだね」と、つらさを受け止めることが大切です。
一方で、不安を避けるための行動すべてにご家族が付き合い続けると、結果として回避が固定化してしまう場合もあります。どこまで支え、どこから本人に任せるか迷う場合は、ご家族だけで判断せず、治療方針も含めて主治医にご相談ください。
受診への不安について
受診の記録や診断名について
「精神科を受診した記録が残るのでは」「すぐに診断名を付けられるのでは」「薬を一生飲まなければならないのでは」と不安になる方もいらっしゃいます。受診すると診療内容は医療機関の診療記録として管理されますが、受診しただけで特定の病気と決まるわけではありません。
症状や経過を確認し、必要に応じて診断や治療方針を検討します。
また、お薬の必要性や服用期間も一人ひとり異なります。症状が落ち着いた後は、状態をみながら減量や終了を検討することもありますので、不安なことはそのまま医師へお伝えください。
通いやすさと費用について
当院には複数の医師が在籍しており、診察を受ける中で相性が合わないと感じた場合は、担当医の変更についてもご相談いただけます。平日は夜22時まで、土日・祝日も診療しているため、ご本人だけでなく、付き添われるご家族も予定を合わせやすい体制です。
また、自立支援医療(精神通院医療)や生活保護による診療にも対応しています。医療費の自己負担は保険の負担割合や利用する制度、診療内容によって異なりますので、利用できる制度について分からない場合は受付へご相談ください。
本人が話してくれないときの対応について
問い詰めずに伝えるには
ご本人が話してくれないと、「何があったの?」「どうしてこうなったの?」と理由を聞きたくなることがあります。しかし、本人自身も原因をうまく説明できない場合があります。
原因を特定しようと問い詰めるより、「最近元気がないように見えて、私は心配しているよ」と、ご家族自身の気持ちを主語にして伝えてみてください。
その場で返事がなくても、無理に答えを求める必要はありません。「話したくなったら聞くよ」と伝え、すぐに関わりを断たず、安心して話せる距離を保つことが大切です。
体調のことから声をかける
気持ちについて話すことが難しい場合でも、「最近眠れている?」「ご飯は食べられている?」など、身体や生活の変化から声をかけると答えやすいことがあります。「病院へ行った方がいい」と結論から伝えるのではなく、「眠れない状態が続いているのが心配だから、一度相談してみない?」と誘う方法もあります。
それでも受診につながらず、ご家族が対応に迷っている場合には、ご家族のみで相談できる場合もあります。まずは当院へお問い合わせいただくか、地域の精神保健福祉センターなど公的な相談窓口を利用する方法もあります。
実際の受診・相談の流れ
初診は24時間Webからご予約いただけ、空きがあれば当日予約も可能です。事前にWeb問診へご回答いただいている場合は、予約時間に合わせてご来院ください。
未回答の場合は、予約時間の15分前を目安にお越しください。初診時はマイナ保険証または資格確認書、お薬を服用中の方はお薬手帳をご持参ください。
紹介状をお持ちの場合はあわせてお持ちください。受付から診察、お会計までは30〜60分程度が目安ですが、診察内容や混雑状況により前後する場合があります。
同伴診療の可否について
初診時にご家族やパートナーの方が付き添ってご来院いただくことは可能です。診察室への同席については、ご本人の同意を確認したうえで対応します。
ご本人の前では話しにくいことや、医師へ事前に伝えておきたいご家庭での様子がある場合は、メモなどにまとめてお持ちいただく方法もあります。
ただし、診療の中心はあくまでご本人となるため、ご本人のお気持ちやプライバシーにも配慮しながら診察を進めます。初診は対面診療となり、オンライン診療は再診以降、症状や診療内容に応じてご利用いただける場合があります。
ご家族だけの相談窓口について
ご本人が受診をためらっている場合など、ご家族のみでのご相談を承れる場合があります。ただし、ご本人が来院されていない状態では、ご本人について診断を確定したり、お薬を処方したりすることはできません。
また、ご家族のみの相談は内容によって保険診療として扱えない場合があります。
ご予約方法や費用、所要時間については相談内容によって異なるため、事前に当院へお問い合わせください。医師がお話を伺い、ご本人への声のかけ方や、今後どのような受診・支援につなげていくかを一緒に整理します。
よくある質問
受診前の準備
本人が行きたがらないのですが、家族だけで相談できますか
ご本人が受診をためらっている場合、ご家族のみのご相談を承れることがあります。ただし、ご本人不在では診断や処方はできず、相談内容によっては保険診療の対象とならない場合があります。まずは事前に当院へお問い合わせください。
初診の予約は家族が取れますか
ご家族から初診予約の手続きをしていただくことは可能です。ただし、診察は原則としてご本人の受診が必要です。予約時には、ご本人のお名前や連絡先など必要事項をご確認のうえお申し込みください。
保険証以外に必要なものはありますか
マイナ保険証または資格確認書のほか、現在お薬を服用している場合はお薬手帳をお持ちください。他院からの紹介状や検査結果などをお持ちの場合もご持参ください。なくても受診できる場合がありますので、まずはご相談ください。
費用はどのくらいかかりますか
保険診療の自己負担額は、保険の負担割合や診察内容、検査・処方の有無によって異なります。また、診断書など一部の書類は自費となります。自立支援医療など、一定の条件を満たす場合に利用できる制度もあります。
何歳から受診できますか
当院では、原則として16歳以上の方を対象に診療しています。小学生・中学生については、症状の内容やこれまでの経過、ご本人やご家族のご希望などを確認したうえで、受診を承る場合があります。
ただし、年齢や症状によっては、児童精神科など、より専門的な診療が適していることもあります。
その場合には、必要に応じて専門の医療機関をご案内することがあります。受診できるか迷われる場合は、事前にお問い合わせください。
受診後のフォロー
診察の内容を家族が聞くことはできますか
診療内容はご本人の大切な個人情報であるため、原則としてご本人の同意が必要です。同席をご希望の場合も、まずご本人の意思を確認します。ご本人の同意がある場合には、治療を支えるために必要な範囲でご家族へご説明することがあります。
本人が薬を飲みたがらないときはどうすればよいですか
無理に飲ませたり、責めたりする必要はありません。「何が心配なのか」を聞き、次回の診察でそのまま医師へ伝えるよう促してみてください。当院では、お薬の目的や副作用、必要な期間などをご説明し、ご本人の希望も確認しながら治療方針を検討します。
休職の診断書はもらえますか
仕事の継続が難しい場合は、休職について診察時にご相談いただけます。症状や勤務状況を確認し、医師が休養を必要と判断した場合には、初診当日に休職用診断書を発行できる場合があります。ご希望のみで必ず発行されるものではありません。
オンライン診療は使えますか
初診は対面での診察が必要です。再診以降は、症状や診療内容に応じてオンライン診療をご利用いただける場合があります。自立支援医療や生活保護をご利用中の方など、対面診療が必要となる場合があります。
通院はどのくらいの頻度・期間になりますか
必要な通院頻度や治療期間は、症状の程度や使用するお薬、生活状況などによって異なります。治療開始時は比較的短い間隔で状態を確認し、安定してきた場合には通院間隔を調整することがあります。診察のたびに経過を確認しながら決めていきます。
「死にたい」と話しているときはどうすればよいですか
「死にたい」という言葉や自傷行為がみられる場合は、一人にせず、安全を確保することを優先してください。具体的な自殺の計画がある、すでに自傷した、強い興奮や混乱があるなど切迫した状態では、通常の外来予約を待たず、119番への連絡や救急医療機関への受診をご検討ください。
関連リンク・支援団体
- こころの耳(厚生労働省)
- こころの情報サイト(国立精神・神経医療研究センター)
- こころの健康・メンタルヘルス(厚生労働省)
- 自立支援医療(精神通院医療)制度(厚生労働省)
- 全国精神保健福祉センター長会(センター一覧)
- 全国精神保健福祉会連合会「みんなねっと」
- 神奈川県立精神保健福祉センター/横浜市こころの健康相談センター/横浜市中区福祉保健センター